引き篭り魔法使いが術を失敗して、巻き込まれてしまいました。

  

9.魔法がない世界の住人と、引き篭り魔法使いの事情1


『げっ! 姉ちゃん、俺のきなこ団子にまで手出さないでよ!』
『いいじゃん。お姉さまとわけっこしよーよ』

 何も考えられずに、ただ立ち尽くす私の眼前。弟の雪夜と過去の私は、お団子を取り合っています。私が一方的にじゃれているのですけれど、雪夜も抵抗は口だけです。本気で私を遠ざけはしません。
 私は、額を押しのけられつつも、お団子を頬張っています。程よい甘さを満喫して、満面の笑みです。
 お団子が食べたかったのもあります。でも、本当の目的は、雪夜にちょっかいを出すことだったっけ。

『姉ちゃんはさ、そんなんだから二十(はたち)になっても、彼氏の一人もいないんだよ』
『優しいお姉ちゃんに向かって、暴言を吐くような子に育てた覚えはありません! 雪夜のオムツかえてあげたり、抱っこしてあげたり、蝶よ花よと育ててきたのに』

 私は大袈裟に泣き真似をしています。日常のやり取りなので、お母さんもお父さんも、止めようとはしません。
 雪夜はキレのある裏手で、私の肩を叩きました。とっても良い音が鳴りました。

『いやいや。それさぁ、華菜にならともかく、男の俺に使う言葉じゃないよ。普通に』

 やはりオーバーリアクションで痛がっている私。雪夜は、それには突っ込まず、頭を振っただけでした。霞む視界でもしっかりとわかります。雪夜が呆れた時に見せる仕草です。
 自然と頬が綻びました。それが余計に涙腺を刺激してきます。そっと自分の肩に触れてみると、あの日の感触が蘇ってくるようです。
 華菜は名前を出されたにも関わらず、我関せずと餡蜜(あんみつ)に口をつけています。
 さすが末っ子です。女に挟まれているからか、雪夜はおっとりとしている方です。けれど、末っ子の華菜は、それ以上におっとりマイペースさんなんですよね。
 あぁ。冷めた目つきの雪夜の向こうで、お父さんがあからさまに動揺しています。

『お姉ちゃんが彼を連れてきたら、お父さん失神しちゃうわよね』
『お父さん、絶対一回は交際に反対しますから!』
『母さんと父さん、悠長なこと言ってられるのは今のうちだけだから。姉ちゃんが行き遅れたら、どうすんのさ』

 雪夜ってば、容赦なく失礼です。愛情の裏返しだと思いたい。
 背が高くがっちりしているお父さんが、子どものようにそっぽを向きました。隣では年よりも若く見えるお母さんが、ころころと笑っています。
 
『ごちそうさまでした』

 私にぴったりとくっついて座っていた華菜が、可愛らしく手を合わせました。今見ても、食べ難そうな姿勢ですね。でも、本人は全く苦痛じゃないらしいんです。雪夜と年子な華菜は、こっそり甘えたちゃんなんですよ。
 当時の私は、華菜の「ごちそうさま」を、私の教育の賜物(たまもの)と褒めて欲しいなんて思っていた覚えがあります。華菜と自分の両方に、感心していました。

「今まで帰りたいって強く思っていなかったのが不思議なくらい……私、家族に会いたいって、もう一度、あぁやってバカ言いたいって願ってる」

 じわじわと湧き上がってくる想い。それは他ならぬ家族に会いたいという願いです。どうしてでしょう。少し前まで、自分でも薄情だと思えるくらい、考えなかったのに。
 これは映像としての効果なのでしょうか。もしそうだとすれば、現金すぎますね。
 頬を伝っていく涙は、拭うほど、雫を増やしていきます。

――わたしたちの世界での存在固定のと、肉体と魂の安定を測るためにかけられた魔法の影響で、家族への感情……いえ、というよりも元の世界への執着や召喚前後の記憶は抑え込まれているのではないかしら。だから、アニムが悪いわけではないと、思うの――

 それはつまり、意図的に考えないようにされてたという意味でしょうか。家族を思い出そうとした時の頭痛も、抑えようとしていた力に反発していたから?
 カローラさんが言わんとしていることは、ぼんやりと理解出来ました。
 けれど、きっとそれだけじゃありません。私の内側に、帰らなくても良いかもという選択肢が生まれていたのは、事実ですから。

『あんみつ美味しかったー! でも、わたし、お母さんが作るおしるこの方が好きー』
『おい、華菜。店先で失礼だろう。お母さんのおしるこが絶品なのには、お父さんも大賛同だけど』

 私とカローラさんが会話をしている間も、話は進んでいきます。
 華菜とお父さんが端っこ同士で、笑みを向かい合わせました。雪夜は興味なさそうにしながらも「っていうか、比較対象がおかしい」と突っ込んでいます。私はお団子を頬張るのに一生懸命でした。ウェーブかかったボブの茶髪を揺らしながら、頷いてはいますけど。

『それはね、お母さんの料理には、魔法がかかっているからよ』

 穏やかな笑顔のまま、お母さんは胸を張りました。
 魔法という言葉に、全身が跳ねました。違う。元の世界に魔法なんてない。瞬時に、そう否定した自分がいました。

『お母さん、そんな子ども騙しな台詞、恥ずかしくないの?』

 雪夜が溜息混じりに問いかけました。さすがの華菜も、唇を尖らせて首を傾げています。けれど、お父さんと当時の私は、腕を組んで深く頷いていました。
 跳ね上がっていた心臓が、一瞬で凍りついた気がしました。全身から血の気が引いていきます。今の自分の状況を考えると仕方がないと言い訳も出来そうです。けれど、どうしようもなくショックでした。
 冷静に捉えれば、お母さんの言葉の趣旨なんて、すぐわかるのに。
 気が付けば、膝から崩れ落ちていました。

『あらあら。恥ずかしくなんてないわよ? だって、皆への愛情っていう魔法は最強だもの。母の愛は偉大なのよ? そういう点では、お姉ちゃんも、お母さんの魔法を立派に受け継いだ、魔法使いよね。まだ見習いだけど』

 本気とも冗談とも判断のつきにくい調子ですが、お母さんの声はどこまでも優しいモノでした。そのあたたかさが、胸を深くえぐります。
 私の視界は涙に濡れて、ぼやけてしまっています。現実ではないはずなのに、溢れ出てくる涙に頭や目が痛みました。過去のみんなに聞こえないとわかっていても、嗚咽を必死に堪えます。

『さすがお母さん!』

 歪んだ視界の向こうで、お父さんと私は、満面の笑みで親指を立てました。それを見て、お母さんは嬉しそうに頬を緩ませます。

『華菜は、おねえちゃんのお菓子大好き!』
『まぁ……母さんのおかげで、姉ちゃんも、料理だけは人並みに出来るもんな』

 華菜が、私の腕に抱きつきました。幼い子どものように、可愛らしく擦り寄っています。雪夜は、動きこそしませんが、口元を緩めました。
 その光景が、さらに追い討ちをかけてきます。
 私は変わっていないつもりでした。異世界に来ても、価値観や元の世界で育った自分というモノを、たった1年で無くしたつもりはありませんでした。けれど……。

「私、帰れないんじゃなくて……戻れない? あの頃の、私には」

 異世界に来て、大魔法使いの師匠に弟子入りしたものの、私は全く魔法が使えません。最初こそ、当たり前だと考えていた状況です。
 でも、いつしか、師匠の傍にいたくて、迷惑をかけたくなくて、魔法を使えない自分を気に病む機会が増えていきました。理由は色々あっても、魔法が使えない自分に、真剣に悩み始めていました。

「帰る術があるっていう問題じゃなくて、私が帰りたいって思わなくなってたの?」

 異世界に来たばかりの頃、帰る方法を探してくれると言って安心させてくれた師匠。今でも、文献を調べくれています。でも、そんな師匠の行動さえ、最近では私に帰って欲しいのかと、落ち込む要因にさえなっていました。
 先程見た看病の場面で、師匠が魂や魔法にばかり目を向けていたと言ってましたが、きっと私も同じです。

「魔法が使えない、使えるようにならない。体が異世界に馴染んできた。表面上にばかり、気を取られていたんだ」

 もちろん、帰りたいと強く思わない自分を薄情だなと考えもしましたが、おかしいと思うほど強く疑うことはありませんでした。
 本当に注意を向けるべきは、自分の心の変化だったのかもしれません。

――アニム。わたしが言うのもおかしいかも知れないけれど。生き物は環境に適応していく。物理的な魔法が存在しなかった元の世界だけど、『魔法』という概念自体はあったかも知れない。なら特に、実際に魔法が存在する世界に来て、捉え方が変わるのは仕方がないわ――

 固い物言いですが、カローラさんが慰めてくれているのは伝わってきました。それが余計に涙腺を緩めていきます。
 さっきまで感じていた山の空気は、どこにもありません。感じるのは、しょっぱい涙の味と凍った空気だけです。
 私は言葉もなく、大きく頭を振りました。

――あっ、ごめんなさい。アニムの精神が不安定になっていたから、つい心の中を読むような真似をしてしまって。人は心の中を読まれるのを嫌がるって、『あの子』に教えてもらったのに――

 カローラさん、どうやら私が拒絶の意志で頭を振ったのだと勘違いされたようです。そうですよね、ちゃんと言葉にしなければ誤解させてしまいますよね。
 思い切り瞼を擦って、視界を取り戻すよう努めます。

「カローラさん、ごめんなさい。違うの」

 しゃくりあげながら謝ります。人で言うところの「おろおろ」状態でしょうか。右往左往していたカローラさんが、目線にまで降りてきてくれました。
 とめどなく流れてくる涙ですが、一度大泣きしたおかげか、少しは量を減らしたようです。

「お母さんが教えてくれていた大事なこと、忘れてたのが悲しくて。それに、自分は元の世界にいた頃と変わったのは、異世界の言葉が使えるようになったとか、魔法の存在を受け入れてるとか、生活に馴染んだっていう意味でばっかりだと思ってたの。自分の気持ちの変化から目を背けてたから、その事実を……家族を前に目の当たりにして、わけがわからなくなっちゃっただけ。もう大丈夫」

 本音を言うと、まだ全然心のざわめきは静まっていません。今も絶賛悩み中です。うん、でも調子は戻ってきたようです。
 私を混乱させている最後の原因。それは、元の世界にいた頃の自分には戻れないと思った瞬間、どこかでほっとしている自分がいたからです。つまり、それは、師匠とお別れしなくてはいけない要素をひとつ消す言い訳になるから。
 一瞬でも、そう考えてしまった自分がみっともなく、ずるいと思えたんです。

「ちゃんと、考えなきゃ。ここに残りたいのか、元の世界に戻りたいのか」

 ゆっくりと立ち上がって、空を見上げます。世界が違っても変わらない青い空。けれど、やはりどこか違うのです。
 ぽつりと力なく呟いた言葉。それにカローラさんが光を瞬かせました。

――アニムは、家族に会いたいの? 元の世界に帰りたくなってしまったの?――

 今度は瞳が大きくなりました。カローラさんの声に焦りを感じたからです。どうして?
 お茶処を見れば、過去の私と家族は、温かいお茶を頂いていました。冷えた体を暖めてくれるお茶を、幸せ顔で飲んでいます。雪夜はおませに、コーヒーが良かったなんて、言っていました。

「正直に言えば、会いたいよ。私が召喚された後、きっと凄く心配してるはずだもの」

 大切な家族。きっと私がいなくなったのを、血眼(ちまなこ)になって探してくれているに違いありません。友人たちだって、意外に涙もろい子が多いです。
 そこで、ふと違和感が生じました。

「しんぱ……い? 探してくれてるって、どうして今まで思い浮かばなかったんだろう。そもそも、『あの時』一緒にいた家族は、どうなって――いたっ!」

 今までにない衝撃に、再び膝をついてしまいました。電信柱に激突した痛みとは比べ物にならないくらいです。呼吸がとまってしまうかと思うほどです。思い切り、誰かに脳天を殴られたようです。
 涙に変わって顔を流れる大量の汗が、地面に吸い込まれていきました。意識の中なのに、リアルです。

――あなたにこんな思いをさせて。きっと『あの子』は怒るでしょうね。でも、ごめんなさい、わたしたちは……――

 深呼吸をしていると、カローラさんの小さな呟きが落ちました。けれど、それはひどく掠れていて、しっかりと最後まで聞こえませんでした。
 
『さて、そろそろ下山しようか。真っ暗になると華菜がまた駐車場で転んじゃうかもしれないからな』

 お父さんの声に引かれ、顔が上がります。お父さんは、腕時計と空を交互に見ています。確かに、紅葉を照らしていた夕焼け空は、藍色に覆われ始めていました。緩やかな下り坂に建てられた灯篭(とうろう)にも、ぽつりぽつりと灯りが灯っています。
 その闇が、どうしもなく不安を掻き立てます。嫌な予感、いえ過去のことですから予感はミスマッチでしょうか。

『お父さん! あれは、海辺でコンクリートがぼこってなってたからだもん!』

 ふくれっ面の華菜がお父さんの背中を叩きました。お父さんは痛がる様子もなく、楽しげに下り道へ小走りしていきます。ちょっと前まで、華菜のプチ反抗期みたいな素っ気無さに悩んでいた分、さらに嬉しんですよね。
 二人の後を、雪夜が呆れた様子でついて行きます。
 お母さんと私は、お皿を重ねて店員さんに渡しました。ついでに、雪夜と華菜が椅子に落としたままだったきな粉をティッシュで集め、掃除をしています。

『ありがとう、お姉ちゃん。それだけ気遣いが出来れば、もうお嫁に行っても大丈夫ね』
『いやいや、普通だし。お母さんまでやめてよー私、まだ二十だよ? 学生だし、就職もしなきゃだし。結婚なんて、考えられないよ』

 私は背中を丸めてリュックを背負いました。重い溜息まで落としています。この時の私の心情は、お嫁云々の話題よりも、そんな相手すらいない自分を悲しく思っていたんですよね。段階が飛びすぎて、悲愴感しか漂いません。
 お母さんは大袈裟に口元を押さえて、顔を覗き込んできます。私は視線から逃れるように、大股で歩き出しました。お母さんは慌てた様子もなく、ゆっくりとついてきます。

『あら、本当にお付き合いしている人もいないの?』
『うっ。お母さんってば、一番痛いことをさらっと聞いたね。いないいない』

 柔和なようで、物事をはっきり口にするお母さん。受身じゃダメよ、と続くのは想像に難くないです。
 案の定、隣に並んだお母さんはガッツポーズを決めました。

『お姉ちゃん、好きな人がいるなら受身じゃダメよ?』
『好きな人が、出来たらね。頑張りマス』
『あら、いいなって思う人もいないの?』

 お母さんの目が、これ以上ないってくらい、大きくなりました。満月です。あの時は目を逸していたのでわかりませんでしたが、本気で驚いていたんですね。
 私は腕を組んで、しばらく考え込む振りをしています。
 その間に、自然と、過去の自分たちに歩み寄っていました。間近で見るお母さんは、記憶よりもふっくらとしています。思い返せば、数日前から太ったと嘆いていたんだっけ。元からやせ型のお母さん。そのイメージで固まってしまっていたんでしょうか。

『まぁ、いいなって思う先輩はいるけど……焦りは禁物デス!』

 この話題は終わりと言わんばかりに、私は両腕を大きく空に向かって伸ばしました。
 少し離れた場所にいた三人が、大声に驚いて振り返ってきました。三者三様の表情です。相変わらず雪夜の表情が一番失礼です。憐れむような目でお姉ちゃんを見るんじゃありませんよ。

『おねえちゃん、鳥がびっくりしちゃうよ!』

  華菜の言う通り、鳥の羽ばたきと甲高い鳴き声が遠ざかっていくのが確認出来ました。今聞くと、鷹(たか)や鷲(わし)レベルよりも、さらに大きな鳥に思えました。私たちとは反対方向に飛んでいったので、実際の大きさは不明ですが。

『それに、はやくきてー! きのこ生えてるの! スマホで名前調べてみてー!』

 鳥の心配をしつつ、私とさほど変わらない大声を出して手招きした華菜。ぶんぶんと勢い良く振っていた腕を雪夜に掴まれて、もがいています。
 私とお母さんは、顔を見合わせて噴出してしまいました。私は頬を緩ませたまま、末っ子の要望に応えるため、駆け出そうとお母さんの手を取ります。
 そして、逆にお母さんに引っ張られてたたらを踏んでしまいました。

『お姉ちゃん、もし――』

 お母さんが、私の耳元で小さく囁きました。左手を口に添えて、あからさまに内緒話しというポーズです。私の頬がわずかに赤みを増しました。頬に乗せたチークの色が濃くなったような気がします。 
 私から離れたお母さんは、満面の笑みを浮かべています。まるでお母さんの方が、恋する乙女のようなキラキラオーラを纏っていますね。
 一方、私は目を座らせて、至極不満そうに肩を落としています。

『お母さん、ドラマの見過ぎ。私のモットーは平穏平凡な人生だよ?』
『あら、つまらない。若いんだから、もっと夢を見ないと』

 私の反論を待たず、お母さんは砂利道を歩き始めました。いつも通り、鼻歌を刻みながら。
 私はリュックの肩紐を握り、疲れた足取りで地面を踏みしめました。

「あの時、お母さんは何て言ったんだっけ」

 全部、平凡な日常のひとコマで終わるはずだった会話。
 当然ですが、この後、お別れがくるなんて予想もしていませんでした。ドラマや映画で聞けば「予想出来たら凄いよ」と、擦れたいちゃもんをつけそうな台詞を、噛み締めます。
 お母さんの言葉を思い出そうと、道端にしゃがみ込んでいる自分や家族を見つめます。

――アニム、混乱させてしまうようなことばかりで、ごめんなさい。でも、もう少し付き合ってくれるかしら――

 カローラさんは、私に現実を思い出して欲しいと言っていました。家族のことを思い出して欲しいという意味だったんでしょうか。でも、ついさっきの動揺を考えると、可能性は低そうです。もし、召喚時のことだけを思い出して欲しいなら、少しずれている気がしないでもないです。
 と、背後から知った声が聞こえてきました。体を捻ると、師匠とセンさんの姿がありました。
 横目には、遠ざかっていく家族たち。勢い良く体を戻しても、すでにあの日の光景は霞の中に消えていってしまいました。つんと、再び鼻の奥に痛みを感じました。

『ウィータ、まだ見つからないのかい?』
『急かすなよ。ただでさえ次元越えてるんだ。ほいほいと容易に発見出来る訳ねぇだろ』

 形容し難い思いを抱いている私を余所に、師匠とセンさんの会話が始まっていました。
 改めて、師匠とセンさんに視線をうつします。師匠は長い後ろ髪を無造作に束ねています。私が召喚されたすぐ後に切ったので、その前の時間軸でしょう。
 師匠の横顔を見つめていると、また涙が溢れてきそうになりました。自分でも、理由はわかりません。喉の奥が、ぎゅっと詰まったように苦しいです。
 瞳を乾かそうと、瞬きを数回、繰り返しました。




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