引き篭り魔法使いが術を失敗して、巻き込まれてしまいました。

  

24.引き篭り師弟と、想いの行く末3


「あにむちゃー! しゅごいねー! 屋台さんいっぱいで、きらきらでち!」
「うなぁー! あにみゅんちょこの夏祭りみたいじゃなー! 光のお花、あがらんかのう!」

 フィーネとフィーニスが興奮するのも当然ですね。ぱたぱたと踊る両手からは、音楽が鳴りそうなくらい楽しそう。
 元から賑わいのある場所が、今夜はさらに倍以上の賑わいな気がします。戦勝の宴ってすごい。樹に飾られているランプがまさに夏祭りを思い出させて、胸が高鳴ります。
 私たちが立っているのは、いつもいる塔っぽい建物とお城の間の通り。外に出ないようにと釘を刺されている私も、今日だけはと参加許可をもらいました。主に、ウィータから。
 必ず、旧友さんたちのどなたかに同行する条件付ですけど。

「楽器の演奏音も、わくわくするね!」
「ふぃーにすもふぃーねも、おどりたくてうずうずなのじゃ!」
「魔法映像しゃんが、しょこらじゅうにありましゅの!」

 私の肩から飛び出した二人のぷりっけつ、じゃなくて、せわしなく動く羽がとても可愛い。結界内で生まれ育ってきた二人は、人の多さに酔っちゃったり怖がったりしないかと、少し不安もあったのですが……いらぬ心配だったようです。そういえば、結界内でも、いっぱいお友達いますもんね。
 隣にいるディーバさんも、二人の愛らしい様子に笑いを零しています。

「すごいでしょ? 王都は割りとかたい雰囲気なのだけれど。ここの領主――本拠地の最高術者《せきにんしゃ》は賑やかな催しが大好きなのよ」
「だから、戦勝祝いも、盛大なんですね」
「えぇ。ちょうど花祭りの時期も近くて、準備していたのもあるけれど。今夜のは一段とすごいわ。未来に戻ったら、ウィータちゃんや私に聞いてみて? 百年後も続いていれば、一緒に行きましょう?」

 ディーバさんに掴まれた両手が、ひんやりとしました。心地よい冷え。でも、ふんわりと微笑んでくださるディーバさんに、返事が出来ません。喉がつまって。
 未来に戻ったら。……戻れるのかな。帰るよりも、今いる世界に留まる方が難しいなんて、考えもしなかった。
 駄目だ! 今日は楽しむって決めたんだ!

「はい。戻れたら、絶対に行きましょ! 約束です。指きり、しましょ!」
「指きり、私も知っているわ。一種の呪術ね」
「わっ私の世界では、そんな重いの、違うですよ?! かるーくです」

 ふむと、顎を押さえて頷いたディーバさん。真剣な面持ちです。師匠は知らなかったけど、精霊さんの界隈《かいわい》では、とても重き呪術なのでしょうか!
 おっと。通り過ぎていく人に、振りかえられちゃいましたよ。お騒がせしてすみませんです。軽く会釈で誤魔化しです。

「アニムは自分の生まれた場所を、まだ世界《せかい》って呼んでいるのね……」
「え? はい、私、異世界人なので。ししょーは、妬けるから、言う度に、拗ねてたですけど」
「ウィータちゃんや周りの人は、アニムの世界をなんて呼んでいるのかしら」

 ぽつりと零された呟きが、やけに耳に残りました。
 師匠? 師匠も、『お前の世界』とか『元の世界』って口にしていなかったっけ。だって、それ以外の名称はないですよね。私も、ずっとそう言ってきましたし。他の方も同じだったような。

「最後に、私の世界の話したは、どうだったっけ」

 ふいに。なぜか、フィーニスの言葉が思い出されました。師匠が私の世界に転生したら、この世界が異世界になるんだろうな。当たり前なんだろうけど、今、ここにいる私にとってはとても不思議な感覚です。
 記憶を消されたとしても、思い出す可能性はゼロじゃない。そうしたら、師匠が元の世界のことを話してくれたとして、切なくなるのでしょうね。傍にいるのに、どこか不安に――。

「あれ。今、つきんて、胸が、痛かった」
「私もね、この世界の生き物だけれど、精霊っていうと、やっぱりこの現世とは違うの。だからね、ウィータちゃんとアニムの関係も、ちょっとね、予測がつくのよ」

 なんで不安になるんだろうって考えた直後。ディーバさんの指が、柔らかく頬を滑りました。身長差があるので逸らそうと思えば、視線からば簡単に逃れられる。でも、そうできない――したくない。
 ディーバさんの瞳の奥に、私が求める答えがある気がして。

「アニムは、どうして迷っているのかな。ウィータちゃんの傍に戻ることを」
「私、悩んでるいうより――ううん、悩んでるは、最初は、ししょーがね、戻って来いって、この世界に、縛ってくれなかったから。自分で考えろって、言われて、決まっていたはずの、気持ちが、揺らいでね。今は、私、決意しても、始祖さんが、言霊、納得いかないと、駄目だって、わけがわからなくて」
「ん、わかった。確かに、今のアニムだと、始祖はこれ以上、ウィータちゃんの傍に置いておきたくないかも」

 ぐあぁ。師匠の一番近くにいる女性であり、始祖さんを知っているディーバさんに言われると、とどめです。思わずしゃがみこんでいました。幸い、フィーニスたちはお祭りの賑わいに夢中でいてくれます。
 ぐわんぐわんと揺れる頭を押さえていると。ディーバさんも、お揃いに、目線をあわせてくれました。ディーバさんがいわんとしている真ん中は、ちゃんと受け止めてます。ディーバさんの口調は、突き放したものじゃなかった。

「大丈夫。だって、アニムは今、傷ついた顔してたから。考え込んでる間、眉間に皺が寄っていたもの。ちゃんと、ヒントはアニムの中に生まれているわ」
「ディーバさん……私、ししょーが、大好きなの。ウィータも……けど、なんか、色々、混乱してて」
「うん。アニムがウィータちゃんを大好きなのも、ウィータちゃんがアニムを愛しすぎて堪らないのも伝わってきた。大丈夫だよ。アニムは一人じゃないから、一緒に『ここで』答えを見つけよう?」

 泣かない。瞳の奥がたまらなく熱くても。
 私は一人じゃない。この世界でいつだって、一人じゃなかった。召喚直後は、結界内に閉じ込められてるって思ってました。でも、師匠やウーヌスさん、フィーニスとフィーネと暮らしていくうちに、私は結界内で守られて生きているんだって感謝が生まれた。
 泣いたら化粧が崩れるぞ、アニム。言い聞かせて、ぐっと飲み込みました。ウィータに見てもらおうって、ディーバさんがほどこしてくれたんだもの。まぁ、ウィータはさらりと流しそうですけどね!

「はい。ディーバさんも、ウィータ、大切なんですね」
「えぇ。とっても。ウィータちゃんには、たくさん、幸せもらったもの。だから、ウィータちゃん自身にも、幸せになって欲しいの」

 嫉妬じゃなくて。大切な人を愛してくださっているのが嬉しくて、ぽろりと零れていました。
 この世界に来てから。それに過去《ここ》に飛んでからも、私は師匠や旧友さんたちに守られてきました。それは、私個人に対する好感度というよりも、師匠の弟子という立場にある私だった自覚はあるんです。召喚直後は、それが居心地悪かった時もあったけれど。私自身を見てもらえるようになりたいと願ったのは、いつからでしたっけ。
 それは、私が皆さんを含めた世界を好きになったから、なんでしょうか。

「私、ディーバさん、好きです。今日、一緒にお祭りまわって、仲良くなりたい」
「嬉しい。私もね、アニムを、もっと知りたいわ」

 へへっと笑いあいます。体がぽっぽします。
 師匠の繋がりが、私とも繋がって深まっていく。それを気に病むんじゃなくって、私も! と挙手できるようになったんだと思うと、ちょっとは前向きになれます。
 手を引かれて立ち上がると、眩しさに視界が細くなりました。先ほどよりも、世界がワントーン明るく輝いる。

「とにかく、今夜はめいいっぱい楽しみましょう。こんな風に領地内は屋台や踊りのステージ、腕試しの会場なんかが設けられているの。魔法比べもね。ウィータちゃんもセンも、ちょっとだけそっちに呼ばれているの」
「ウィータ、意外と、盛り上げに、貢献するですね。目立つの、嫌いそうなのに」
「あたり。普段はしないのよ? 今回はセンに引っ張られていったのと……あとは、うふふ」

 うふふってなんでしょうか。ディーバさんの瞳が、ホーラさんみたく三日月になりましたよ。含みのある笑いが私をとらえます。
 いやいやと、目を逸らしちゃいますよ。それでも、ディーバさんは「あの、ウィータちゃんがねぇ。うふふ」と笑いを止めません。
 手を繋いでくるくるまわっていたフィーニスたちが、すいっと目の前に戻ってきました。

「あにむちゃ! ふぃーね、ぽんぽんすいてきちゃったでしゅ」
「にゃんか、甘い香りやお肉の香りがするのぞ」
「ふふ。子猫ちゃんたちってば。領主からの振る舞いだから、思う存分だべられるわよ? 個人の支払が必要な一角もあるけど、私に任せて。こう見えても、特権階級だから、賃金は高いのよ?」

 悪戯っぽく笑い、どんと胸を叩いたディーバさん。可愛いウインクを受け、フィーニスたちは「うなぁぁ!」と頬を押さえてうっとりです。
 ディーバさん、この可愛いぽっこりお腹の吸引力に驚いてくださいませ。ここにいる間に、なんとか労働でお返ししたいものです。

「やっちゃー! あんね、ふぃーねはね、あしょこのあまーい香りがね、ほちいの!」
「ふぃーにすもじゃー! あにみゅが作ってくれるパンケーキに似てるのぞ!」

 ばびゅんと。目にも留まらぬ速さで屋台に突っ込んでいくフィーニスとフィーネ。今まで見たことのある動きの中で、一番早いかも。
 幸い、魔法使いが多いだけあって、領地内には使い魔と呼ばれる動物も人型も、結構います。フィーニスたちが飛び回ってても、違和感はありません。

「さぁ、アニム。私たちも混ざりましょう? おめかしもしているのだもの。ウィータちゃんもセンと一緒に戻ってくるはずよ」
「べっ別に、私は!」
「はーい、はい。髪をアレンジして、化粧もして。ウィータちゃん、さらに見惚れちゃうかもね」

 愉快そうに短いスカートの裾を翻したディーバさん。慌てて追いかけようとして、躓いてしまいました。こっちの世界に来てからは、まったく履いてなかった細めのヒールのせいです。
 こけたら、怪我どころかニーハイが破れちゃう! と焦ったのも束の間。たくましい筋肉質の腕がお腹に回っていました。ぶらーんて、子どもみたいに抱えられています。

「お嬢ちゃん、気をつけな。可愛い尻が丸見えになるところだったぞ?」
「あっありがとう、です!」

 男性は、豪快な声と体格に見合わないくらい、丁寧な調子で降ろしてくださいました。こんがりと焼けた肌に、熊さんみたいに大きな体格。ディーバさんとはまた違った色味の銀髪は、夜でもきらきらと輝いていて、綺麗。
 一見セクハラっぽい言動もからりと流せるような、爽快な口振りです。

「ヒュン、ありがとう。アニム、怪我してない?」
「ちょっとちょっとー! ヒュンてば、あたしというものがありながら、他の女の子のお尻を可愛いって、どういうつもり?」
「俺は客観的事実を述べたまでだぞ? やくな、やくな」

 戻ってきてくれたディーバさんに頷き返します。言葉もなく頷いている間に、ヒュンさんの後ろから、ひょこっと女性が現れました。
 今日のお祭り。女性のほとんどが、薄い桃色のワンピースと赤いリボンを身につけています。基本スタイルは同じですが、みんな形をアレンジしているんです。私はディーバさんとお揃いで、久しぶりのミニスカです。うぅ。改めて、恥ずかしい。白のニーハイが大部分はカバーしてくれていますが。師匠がミニを嫌がっていたので、膝丈ばっかりでしたもん。

「ほら。かわいそうに。裾を押さえて恥ずかしがっちゃってるじゃないの。ごめんね。ディーバの知り合いなんだよね? 変態親父はあたしが引き取っていくから」
「いえ! 助けて、いただいて、助かりました。お二人の邪魔、すみません」
「やだ! あたしとヒュンはそんなんじゃないってば!」

 そうは言いつつも、すっきり美人さんは嬉しそうです。ヒュンさんの背中からよい音が鳴り響きました。痛がるヒュンさんも満更ではない様子です。そのまま、お二人は手を振って、去っていかれました。
 私も、ディーバさんに可愛く手を握られました。ちょっとひんやりしているけれど、心地よい温度。

「じゃあ、まず軽くお腹に入れて、ダンス会場の方に持っていきましょうか。踊り子のパフォーマンスがすごいし、皆で踊れるの」
「はい! ひとまず、フィーニスとフィーネの、お腹の音、とめないとですね」

 きゅるきゅると可愛い音が騒いでいたのを思い出し、ディーバさんと笑いあってしまいました。手前のお店で止まっているフィーネとフィーニス。人だかりの上でちょこまか動いて、甘い香りの元を見つめているようです。
 あの香りは……懐かしいベビーカステラみたい。

「あにみゅー! 早くー! ふぃーにすたちじゃ、並べないし、もてないのじゃよー!」
「でぃーばしゃんも、いっちょ、きちぇー! おいちそーでしゅの!」

 てしてしと両手を上下に動かしているのが、遠目でもわかります。焦った声が、喧騒の合間からもはっきりと届いてくる。
 音楽と人の声に、色々小さなフィーニスたちを見失ってしまわないうちに、傍にいかなければ! と、考えているうちから、フィーニスとフィーネの可愛い姿が、ひゅっと消えてしまいました!
 慌ててディーバさんと駆け寄ったものの、大きな体の人もいる人だかりを割って入るわけにもいかなく、ひやひやするばかり。

「ぷみゃ! あにみゅ、なんぞあまくてふんわりなころころってお菓子、ゲットなのぞ!」
「らすしゃん、いっこ! いっこ、あーんしてくだしゃい!」
「はいはい。落ち着けって。ほら」

 フィーネたちと姿を現したのは、ラスとホーラさんでした。あっ相変わらず、ホーラさんの食欲はすごいのですよ。両腕に抱えた紙袋から、がささーとお口に流れ込んでいくベビーカステラっぽいお菓子たち。
 たぶん、ラスが持っている二袋《ふたふくろ》も、一袋は間違いなくホーラさんの分ですね。

「うななー! おいしーのぞぉー! らす、ありがとなのじゃ」
「あまくちぇねー、ふかふかでねー、うーん、とにかくおいちいのでしゅ! あんがちょ!」

 ほぅっと至福の笑みで頬をおさえ、あむあむと一生懸命顎を動かしている二人。あまりの可愛さに目じりが下がったのは、私だけじゃなかったようです。
 ラスをはじめ、皆さん一様に瞳を蕩けさせています。全身からほとばしる幸せオーラは、こちらがそれ以上の幸福感をもらえちゃうんですよね。

「どういたしまして。アニムとディーバも食べるだろう。はいよ」
「もらっていいの?」
「もちろん。子猫ちゃんたちにねだられた分だからな」

 ラスにお礼を言って、もうひとつ。二人のおててに持たせてあげると、今度は味わうようにゆっくり食べ始めました。
 うん。確かに美味しい! あつあつなうえ、ほどよい甘さ。大きさもひとつひとつが小ぶりなせいか、どんどん進んじゃいます。

「アニムもディーバも、よく似合ってるよ。いやぁ、女の子のふとももは、癒しだよなぁ。アニム、普段隠してるのがもったいないなぁ」
「変態でち! もごご。らすしゃんは、らすたーしゃんとおなじ、変態さんでしゅの!」
「ちっちっ。フィーネ、変態じゃないんだなぁ、これが。ウィータだって、たぶん、同じこと思うぞ?」

 似合っているというのにはお礼を返しましたけど。ウィータは、どうかなぁ。師匠は見せろっていうより、隠しなさいって叱るタイプだったし。フィーネたちとくるくる回って、足が見えてるってよく怒られてましたもんね。見たいより、はしたないって思うんじゃないかな。
 とはいえ、ディーバさんには言ってないのか、言ったけど諦めてるのか。センさんの希望なのかは不明です。かといって、諌めている様子はありませんよね。うーん。なぜに、私だけ。そもそも結界内なんだから、ほとんどの日数は、男性って師匠だけなのになぁ。

「ディーバとアニムはどこに行くのです?」
「魔法会場の隣の区域にある、ダンス会場。アニムに楽しんで欲しくて」
「おぉー! わたしとラスも、そこで腰を下ろそうと思っていたところなのですよ! よーし、みんなで行きましょーなのですよぅ!」

 ホーラさんが勢いよく片腕をあげると、フィーニスとフィーネも真似て、きゃっきゃと声をあげました。というか、ホーラさん、すでに完食ですか。さすがです。
 私はご一緒できるなら嬉しいことこの上ないのですが。何故かラスは渋っているようです。眉を垂らして後頭部を摩っていますもん。

「ラスは、だれかと、約束あるの?」
「へっ?! 俺?! いっいや、全然、あるわけないし、ホーラのお守りだしさ! つか……アニムが嫌じゃないかなって、いうか」
「お守りしてあげてるのは、わたしなのですよぉ。この間もアニムに振られた自棄酒に付き合ってあげたの、忘れたのですかぁ? 有料角《ゆうりょうこーなー》は全部ラスのおごりだっていうから、今日は一緒にいてあげてるのです」

 ぎゃふ。そっか。あの時、フィーニスたちが二人で帰ってきたのは、そんな理由だったんですね。いえ、ラスが飲んでいたのは昼間聞きましたけど。その昼間にも、もう気にしてないって告げたのに、まだ落ち込んでるのでしょうか。
 やっぱり気にしいさんです。ラスターさんもラスも、私には大切な人。
 私と距離をとろうとしているラスの裾を、えいやと掴んでやります。

「お昼にも、言ったよ? 私、気にしてないし、ラスに避けられる方がね、寂しいよ? ラスターさんだけなくて、ラスにも、感謝してるし、嫌いなんてないの。ラスが嫌じゃないなら、いっしょ、いこ?」
「……やっぱり、ずるいよなぁ。ちゃんと断ってくれたのは、受け止めてるんだけどさ。そんな風にお願いされちゃ、断れないだろ。てか、ありがとな」
「らすしゃんも、いっちょーなの! どどーんでしゅー!」

 ラスが顔を覆った瞬間、フィーネとフィーニスの腹アタックがかまされました。「うなー!」とラスにしがみついてじゃれる二人に、空気が緩みます。
 ラスも楽しそうです。フィーニスたちをくすぐったり頬ずりしたりして、引っかかれていますよ。大きな掌から覗いていた色は、見間違いなのだと思っておきます。だれよりも、ラスが望んでいない気がしたから。
 私こそありがとうと、心の中でだけ呟いて。




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