引き篭り魔法使いが術を失敗して、巻き込まれてしまいました。

  

24.引き篭り師弟と、想いの行く末7


「ふぅ。前から、思ってたけど、ここ昔なのに、水洗技術、すごいな。って、水晶の森も、同じ。結界内なのに、あまり、気にしたのない」

 この世界って、細部を見るとすごく生活水準が高いんですよね。生活水準と表現すると語弊があるでしょうか。私の世界と違和感なく過ごせてるんです。
 まぁ、過去《ここ》以外は知りませんし、特に結界内の冷蔵庫もどきやお風呂は、師匠の魔法がなせる技的と魔法道具なところありますけど。
 私の世界は世界史で学んだ限り、印象に近い中世は、とくに衛生面なんて結構悲惨な状況だったと学びました。最初はイコールで覚悟してたんですよね。懐かしい。
 この世界は科学が発達していない割に、魔法が科学的な役割を補っているというよりは、科学以上に担っている部分があります。どこかアンバランス。

「不思議な世界、だな。まるで、科学、前提の、生活魔法技術」

 かつんと。踏んだ石畳の音がやけに木霊しました。
 眼前には、くりぬかれた窓。風が運んでくる賑やかな音と、反するような落ち着く花の香り。そして、賑やかな空に煌々とある膨らみかけた月。

「でも、大好きだって、思う。わかったの。私、この世界自体も、なにより、ししょーがいる、この世界が」

 この世界――始祖さんには受け入れてもらえないかもだけれど。溢れ出しそうな瞳の熱さに、思い切り頭を振ります。
 なんだっけ。そうだ。この世界の不思議さ。
 科学と重なる魔法の用途に、元の世界で言うところのオーパーツ的な存在だな、なんて頭の隅で考えてみたり。ホーラさんが始祖さんの存在について発言していたことが、なぜか反芻されました。

「この世界は、一度滅んでいる」

 真偽も定かではなく、真意も不明な言葉なのに。賑やかな星や地上で渦巻いていく華やかさとは異なり、ただ静かな蒼を身に纏っている月が、その言葉を心に植え付けてきます。
 師匠は。ウィータは真実を把握しているんだろうな。聞けば、教えてくれるかな。

「――から、ちょっとくら、――してくれたって」

 師匠と同じ色味の月に、心を持っていかれそうになった刹那。見えない所から漏れ聞こえてきた、甘ったるい声色で我にかえりました。男性を誘う色の濃い、音。こんな祭りのテンションですもんね。人影の無い外れの建物なら、逢瀬もありましょう。
 あまりに女性らしい色に頬が熱を持っていくのを自覚しつつ。ウィータを探すため、つま先の方向を変えたのですが。

「だから、何度断れば、理解すんだよ」
「いいじゃない。あの貧相な小娘、軍命で預かって、責任感じてるだけなんでしょ? ウィータがいなくても、ラスと適当に遊ぶわよ。あぁいう物知らないって純粋ぶってるのが、一番悪質なんだからぁ」

 聞き間違えるはずのない、大好きな声。けだるそうに流れてきたのは、ウィータからでたものでした。
 間髪居れず。今度は、ささやきではなく嘲笑の色濃い吐き出しが、廊下に響きました。
 ウィータは明らかに拒否している。でも、本当? 私の願望じゃないのかな。
 どっどっどと。気持ち悪いどろどろとした血液を流す心臓。ウィータが待っているはずの階段とは反対に、進んでしまいます。変に冷静な頭は、ヒールの靴をわざわざ脱がして。

「サスラ。オレに責務があるって事実と、あの娘がタチ悪いってのは、関連性がないように思えるが?」
「あん。ウィータは、私に言わせたいの?」

 やだやだ。見たくなかった。
 壁から覗いた、階段の踊り場よりも小さなスペース。壁に腕を組んで寄りかかっているウィータの首に、むせ返るほどの色香を纏って腕をまわしている女性。
 見覚えがあります。階段でウィータに魔力の補填を強請ってきた女性です。
 豊満な胸を押し付けているのでは飽き足らず。動かないウィータの足に、ねっとりと絡みついている素肌の足。経験のない私にさえわかる、アピールの仕草です。女性の腰は悩ましく、動いて――。

「――ぅ」

 暗がりでもわかる、それでいて艶かしい紅の唇が、ウィータのそこに妖しく近づいていく。
 たまらず、駆け出していました。
 わかってる、わかってる。私がどんなにウィータを好きになっても。現在のウィータにとっては、関係ない。師匠からみた、私じゃない。師匠は浮気なんてしない。それは、絶対。
 ここのウィータの行動を遮る資格は、私にはない。それに……ウィータにとったら、その行為は異性感情ではなく、単なる魔力――私の知らない世界の儀式だから。

「わかってる。それでも……苦しいの。片想いだから、当然だけど。でも、ウィータに、女の人、触れて、欲しくないっ」

 息を吐き出せた時には、一階にまで降りてきていました。たまらくなって、蹲らないと辛い。
 これが師匠なら、割って入ってでも邪魔します。私の想い人、恋人に迫らないでって。だけれど。ここでは違う。ウィータの前から消える――寄り添わない私に、ウィータの行動を制限する資格はない。
 そうだ。逃げることなんて無かったの。むしろ、戻らなきゃ。頭では理解しているのに、体は動いてくれません。

「しか、く? よりそわ、ない? これは、わがまま? それとも、これも、始祖さん、認めない、理由……? どっちが、正しい? わがまま、謙虚。強欲、無欲。わからない。私、自分の気持ち、素直いいか。推理みたく、正しい答え、必要か」

 私の中にあるどの感情を音にすればいいのでしょうか。
 師匠もセンさんたちも口をそろえて、始祖がって突きつけてくる。私は単純だから、始祖さんが希望する『正しい』解答なんて、わからないよ。だって、これまでだって、師匠は私が思った通りの言葉を伝えれば良いって言ってくれたもの。
 フィーニスもフィーネも、同じです。二人の胸に隠れたモノを考える努力は必要だったけれど、手繰れば指先に触れてくれる感情や信頼があった。

「私は、始祖さん、全然、知るない……!」

 そう。私は始祖という存在を知りえない。始祖さんが何を欲して、求めているのかなんて思いつきようがない。
 やめよう。私、どうかしてる。また、人のせいにしているだけです。深く息を吐いて、呼吸を整えると。冷たいと感じていた風は、優しく頬を撫でてくれているのに気がつけました。
 私は学んだはずです。フィーニスとフィーネの涙で。見えている部分だけじゃなくって、色んなところ、きっと師匠を思うなら、未来のディーバさんの言うように世界を見なきゃいけないんだ。

「だけど、やっぱり、ウィータだって、ししょー――私の、世界の、一部。私は、ししょーの、一部、なれてたのかな……」

 呟いて、はっと顔があがりました。そうだ。なにも、世界全部を見なきゃ、世界を好きって言えないわけじゃないんだ。元の世界だって、私は母国、ましてや故郷しか見知っていなかったんです。
 もちろん、学校で習ったり旅行前に調査したりの知識は、微々たるものでもありました。かといって、知らない方が多かった。だからって、世界を、地球にある自然や歴史、ましてや大切な人を好きって言うのは滑稽《こっけい》?

「ししょーは、私の世界――日本のこと、いっぱい、聞いてくれた。好きだなって、おもしろいなって、笑ってくれた――! 私も、さっき、ぽろって、好き、抱いてた!」

 知識を得るのは大事です。なければ悲しみも呼ぶし、先人の知恵を吸収しいかすのが未来《さき》に生まれ来る命の義務でもあるって演説も耳にしたことがある。けれど、大切なのは――!
 私、ラスターさんやセンさんに言いました。好きな人の繋がり、嬉しいって。好きな人の好きを知って、繋がる幸せだって。

「私は、この世界を、どう見てるの……? 単なる、異世界、として? 水晶の森も、南の森も。ここも、異世界? 異世界って、なに? 私は、こ――」
「はて。胸糞悪い存在値は、これまた理解不能な言を発するものですね」
「メトゥス!」

 さぁっと、血の気が引いていきました。足から石の冷たさが流れてきてもなお、熱いと感じていた全身が嘘のように凍っていきます。急いで靴に足を突っ込みます。
 光に手が届く直前、闇に飲まれたような感覚。目の前に、あの花吹雪の欠片が舞った幻覚さえ現れたと思ったのに。
 石を鳴らして近づいてくるメトゥス。とにかく、階段を上ればウィータがいる。かっと、音を立てて階段に踏み込んだのですが。

「ちょっ! はなして!」
「女のヒステリックな叫びほど、耳障りなものはありません」
「い、たっ!」

 痛い。捕まれた手首に、爪が食い込んでくる。つっと、流れた赤い血が視界に広がっていきます。裂かれたひりっとした感触よりも、少年の嫌悪の視線が恐怖を煽ってきて……。
 叫び声をあげようにも、喉がつぶれた声しか絞り出せません。
 なんとか抵抗を試みたのですが。結局、建物外の影に連れ込まれてしまいました。壁に投げ出され、背中を激しく打ちました。もっものすっごく痛いけど、おかげで冷静さが戻ってきました。

「私に、なんの、用ですか」
「ほぅ。このプレッシャーの中でも口を開けるとは。貴女が卑しくも絡みとっているウィータ様の魔力のおかげというところでしょうか」

 ぐっと。容赦なく顎を掴まれ、無理やり上をむかされます。だから、爪先が刺さって痛いんだってば! いくぶんか修羅場なれしてきたおかげが、悪態をつく余裕はあります。心の中でだけど。肉付きのよい頬に、つぷっと沈んでくる爪先。
 悪役定番的な長い爪はやめなさい。あれ、でも頬を伝ってくるはずの生暖かさは感じられません。
 突っ込みたいものの、たこ口よりひどく押しつぶされ、注意出来ません。

「我が師は気付いておられましたよ。貴女の異質な存在値と魂の旋律に。何者ですか。あまつさえ、ウィータ様にとりいるなど!」
「けほっ。私が、何者でも、貴方に、何の関係あるです。ウィータ慕ってるは、伝わってくるです。けど、私、すぐ消える」
「関係ですって? ありますとも、大有りですとも。私はウィータ様をこの世のだれよりも崇拝しています! お慕いしております! ウィータ様は、孤高であり、尊きお方! 私はまだお聞かせ頂けておりませんが、全身に感じるのです! あのお方はこの世界で特異であると! ゆえに、貴女なのごとき、卑小な生物の背中を追うなど、言語道断!!」

 やめて。
 つっと喉を滑った爪も気にならない位の怒りを覚えています。睨みつける私が気に食わなかったのか。メトゥスの指は、そのまま胸元まで降りてきました。うぅ、痛い。胸を鷲づかみにされたうえに、服と言う障害のない鎖骨下に、鋭い感覚が沈んできます。気持ち悪い。

「……なぜ、貴女の血に、ウィータ様の魔力が混ざっているのですか?」

 ひえぇ。気持ち悪い! メトゥスは爪についた私の血を舐め上げました。っていうか、爪に血が吸収されていったように見えたのは錯覚でしょうか。吸血鬼の爪版?!
 おまけに。疑問系だけど、全然違う。答えないなら白状させるという圧迫感満載での空気です。けど、負ける訳にはいきません。だんまりで睨みあげてやります。
 苛立ち交じりに前髪をかきあげたメトゥス。やっぱり左目は普通です。
 足の間に潜り込んできた感触も気持ち悪いけど。負けません。ニーハイ、強し! 肌じゃない!

「慕うは、素敵な感情。けど、貴方は、ウィータを、孤独するだけの、押し付け! ウィータだって、心ある。だれより、あったかい、心が、あるのに、それ、全部、排除するですか!」
「不快な下等生物ですね。あれほど崇高な魔法使いに、感情など必要だということ自体が大きな過ちなのです! むしろ、邪魔しているのだとなぜはかれない! ウィータ様に近づく下劣な奴など、全て排除すべきなのだ。まだ力及ばぬが、特権階級のやつらも全て……!」
「逆に、好きな人の幸せ、願うのに、なんで、感情いらないと、思うのか、疑問。ふっ。ウィータ、望んでるなら、まだしも。ウィータは、孤独も、人と、世界も、断絶なんて、望んで、ない!」

 師匠は私のために引き篭って、結界をはってくれていた。けれど、世界と断絶しているわけじゃない。交流を絶っている引き篭り魔法使いじゃない。外界からの来客は制限してても皆無じゃなかったし、結界内の生きとし生けるものを愛でて、愛されてる。
 なにより、ウィータがメメント・モリからでたのは、世界を見たかったからだと思うんです。大切なセンさんやディーバさんと、一緒に。魔法だけが好きなら、それこそ、今のウィータはいないって、私にさえわかるのに、どうして同じ世界に生まれ育った人たちに理解出来ないの?!

「血どころか、魂の旋律がおかしいですね……私はウィータ様の魔力を研究していますが、これは――」
「やっ!」

 メトゥスの行動に性的な色が皆無なのは承知しています。それでも、心臓目掛けて顔を近づけられ、体が跳ねてしまいました。
 途端、雷が落ちたような電撃が、闇に走ります。

「くっ!」

 一歩後退するのと同時に、メトゥスは腕を伸ばして詠唱を紡ぎだす。
 今度は額が光りました。自分でも眩しくて、ぎゅっと瞼を瞑ってしまうほどの魔法。あぁ。でも、あったかい。師匠の守護魔法やフィーネとフィーニスの魔法を似ている。ふわふわってして、安心する。
 たぶん、雷は私の中にある師匠の魔法。未来のメトゥスには効かなかったけど、この時代のメトゥスの魔力になら対抗できたんでしょう。ふわふわは、師匠の血文字で描かれた魔法。血自体は拭われても、皮膚に刻まれるくらい師匠の想いがあったと思っていいのかな。

「このあまっ――!」
「そこまでだ」

 目を血走らせたメトゥスの動きが、ぴたりと私の数ミリ先で綺麗に止まる。
 正確には、噛み付く勢いで飛びついてきた彼は、すぐさま壁に打ち付けられていました。石音に交じって、ばきばきとか、聞こえたような……。
 ただ、へたりこんだ私には発信源を考える余裕なんてありません。体のいくつかの部分から流れている赤い血に、一瞬くらみましたが。

「メトゥス。どういうつもりだ。いや、弁明は必要ない。最高術者《さいこうせきにんしゃ》とお前の師サルドスに報告後、追って処罰を伝える」
「ウィータ様! 私は、ウィータ様を思って! それに、我が師とて!」
「特権階級ならびに眷属、弟子については軍命通達があったはずだ。壁の陰にいたお前の師が関与していようがいまいが、お前の所業は変わらない。同罪だ」

 私とメトゥスの間に立ちはだかったウィータ。私でさえも感情がないと思える声色です。なのに、ほっとしてしまい。はっていた虚勢が崩れ、がたがたと震えだす体が痛い。筋肉が、強張る。
 寒い。ひどく寒いです。指先が、痛む。

「ウーヌス。ウィータ・アルカヌムの名において、サドルナとメトゥスを地下牢の最奥へ連れ行け。二人の発言は許可しない。お前ら師弟、両人に禁固十日と例の魔力供給を命ずる。次いでの罰は追って知らせを寄こす」
「はっ」
「ウィータ様……!」

 悲壮なメトゥスの呼びかけにまぎれ、物陰から漏れてきた老人の掠れた、それでいて粘着質な忍び笑い。グロテスクな痛々しい瞳が、脳裏に蘇ってくる。
 すっと現れたウーヌスさんは、私が知っている姿と変わりまりません。ただ、少し、感情が見えません。
 しんと。いえ、私の歯が鳴る不快音だけが、夜を揺らしています。怖かった。掴れた胸も痛かった。心臓の香りを嗅ぐ目的とはいえ、胸に顔を埋めかけられたのもすごく気持ち悪かった。ましてや、足に絡んできた熱は――。

「アニム。妙なこと、されてないか?」

 片膝をついたウィータは、感情を押し殺した声をかけてきました。怒っているような、心配しているような。両方かな。私、勝手に階段降りてたし。
 謝らなきゃとか自業自得だよねとか。色々言いたいことはあるのに、私は必死に頭を上下に振ることしかかないません。
 
「嘘付け。傷がついてる」

 咎める声色。でも、すごく優しい語調。
 怒ってくれた方が強くいられるのに。ウィータにとって、うっとおしくない自分でいられるのに。零れそうになる雫を払うため、ぶんぶんと、髪を舞わせてやります。

「へっへいき。もんだいない、よ。私、つよいもん。こわい、ない。ただ、魂絡んだ、ししょーの魔法、よまれたのだけは、ふかくだね。こっこまった、こまった」

 かちかちと、見っとも無く震える歯なんて幻ですよ。
 大丈夫。なにも踏み込んだ接触はなかったもん。気持ち悪さで比較するなら、アラケルさんや他の体験のが、ぞわってきましたよ。だから、平気。傷だって、血をふき取れば無視指されだぞって誤魔化せる。

「起きたこと、しょーがない。は、はやく、いこ」
「立てるのか?」
「う、ちょっとだけ、待ってください、です」

 情けないですが。ぶっちゃけ、足に力が入りません。メトゥスもその師匠も、もういないのに。心地よい風が、恐怖ですくみあがった体を撫でてくれているのに。
 ウィータに呆れられてしまったかもしれない。
 でも、落ちると予想していた溜め息は、一向に聞こえてきません。代わりにと、よく知る感触が胸の傷を撫でました。びくりと、跳ねたのは嫌だからじゃない。

「すぐ済む。じっとしてろ」

 言うが早いか。ぽっとあたたかい光が膨らみました。治癒魔法。瞬く間に傷がなくなり、魔法を纏ったままの指が喉、次に頬へと移動していきます。
 ウィータの治癒魔法はすごい。傷の治療だけじゃなくて、私の心も落ち着かせてくれる。傷がふさがっていくのと同時に、震えも止まってくれた。

「ありがと。もう痛くない。行こう」
「……どうすれば、いいんだ」
「へっ?」

 どうするも何も。立ち上がるのに手を貸してくれたじゃないですか。
 はてと頭を横に倒してみるものの。ぐっと結ばれたウィータの口は開いてくれません。表情も、長い前髪の影に隠れてわかりません。
 困りました。とは言っても、ウィータに反応がないんだもんなぁ。失礼します、なんて心の中で断りをいれ、前髪を払った先にあったのは。皺がよった眉間。それに、苦々しさを浮かべた瞳。

「オレは、お前みたいな反応するような奴、慰める方法、考えたことなんてなかったから」
「慰める? 慰めて、もらったよ? ウィータの治癒魔法、傷回復だけなくて、ほっと安心くれてたから、私、こうして立ててる。ししょーもだけど、ふわって、ぽっとして、笑顔なる」
「――っ! 言い方、変える。アニムの師匠は、怯えてるお前にどうしてる?」

 えっ、師匠? 知的欲求?
 ぽけらっと馬鹿みたいに口を開け放って、ウィータを見上げちゃいますよ。じわじわと、ウィータが染まっていくのが、なんか可愛い。
 もしかしなくても、同じ方法で慰めてくれようとしてるのかな。嬉しくて、頬が緩んでしまいます。




読んだよ


 





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