引き篭り魔法使いが術を失敗して、巻き込まれてしまいました。

  

21.引き篭り師弟と、別離のち出会い2

――どさっ――

 ふいに聞こえた音に、ひやっと背が伸びました! まさか! 想像では悶えられますが、実際師匠がいたら恥ずかしくて穴に潜るどころじゃすみませんよ!
 魔法映像でも、私には認証能力なんてありませんから、受ける一方ですしね。
 慌てて周囲を見渡しますが、音が響いた以外は先ほどと変わらない、薄い藍色のベールに包まれた静かな部屋です。窓の外で、吹雪が酷くなっているのが唯一の変化でしょうか。分厚いはずの窓ガラスを揺らしている風は、音だけで震えを誘いますね。
 フィーニスの鼻が、ひくっと弾みました。軽く小首が傾げられますが、すぐにぷるっと身震いをして、小柄な体がさらに小さくなっちゃいました。かわいいなぁ。掌サイズがさらに小さい! 大福!

「あにみゅ、あほじゃの。子どもみたく暴れるから、リュック、落ちちゃったのぞ」
「しょーがにゃいでしゅ。ベッドで泳ぐはわくわくでしゅもんねー?」
「ベッド、ふかふかだもんね。じゃなくて、中身、出ちゃった」

 どっちの反応も微妙に羞恥心をくすぐられて。そそくさとリュックを拾い上げたのですが……リュックから半分飛び出ていたモノに、一呼吸、動きが止まりました。
 元の世界の、家族写真です。二年近く手にはしなかったけれど、持っているのは鮮明に覚えていた写真。今にも会話付きで蘇ってきそうな、あの日。
 リュック底の手帳に挟んであったはずなのに、どうしてこれだけ出てきちゃったのか。フィーネたちが遊んでいる間に、リュックの中がごちゃまぜになっちゃったのかな。
 じっと写真を眺めて。過去の出来事よりも、何故この手にあるのかを第一に考えてしまいました。これも心の変化から、なのでしょうか。

「あにむちゃ?」

 フィーネとフィーニスがベッドに座って、じっと見上げてきます。おひげが下に落ちちゃってるのは、何故でしょう。お口をきゅっと三角にして、うるっと瞳を潤わせています。
 ううん。理由なんて明らかです。私が一人で意識トリップしちゃってたからですよね。
 よっこいしょっと。絨毯(じゅうたん)が敷いてあるとは言え、石造りの床は、膝から体温を奪っていきます。

「写真だよ? この世界にくる直前の夏にね、家族で、川の近くで、えーと、ご飯作ったり、したの。雪夜はお勉強の、気分転換したいのと、お肉いっぱい食べたいって。華菜は、綺麗な星見たいって、はしゃいでてね。とっても暑かったけど、お父さんが野菜もお肉も、たくさん焼くって、はりきってて。お母さんは、私とお父さん、頑張るから、楽だわって笑ってて。お姉ちゃん――私は、夏なのに、恋人と、海にでも行かないのかって、からかわれてね。とっても、楽しかった」

 もたれたベッドの端も、雪をはらんだ様な温度でした。
 ベッドにそっと置いた写真に、やはり同じ仕草で触れた二人。静寂が、やけに切なさを連れてきちゃいます。はふっと出た息は、涙を含んでしまったように感じられて……違うでしょと、軽く頬を叩きます。
 泣くのは間違ってる。だって、悲しい思い出じゃないもん。
 楽しかったから。素敵な思い出だから、今度はこの世界で師匠やフィーニスたちと、新しい思い出を作っていきたい。

「うなぁ」

 か細く出た鳴き声にはっとして、違うよと垂れ耳を引っ張ります。
 私が生きるのは、この世界なんだ。元の世界のことは忘れなきゃいけない。師匠は忘れないで良いと断言してくれたけれど、そこに甘えていたらいけないんだ。私が元の世界の思い出を引きずるほど、悲しむ人がいる。だから、この世界に残るなら、全部――。
 ぐっと自分に言い聞かせて。。自分を納得させるため、微笑みます。無理にだって、笑ってれば、それがいつか本物になるんだから。

「ん。寂しい、なくてね。今度は、ししょーやフィーネ、フィーニスと一緒に、海でご飯食べたり、星見たり、しようねって、思ったの」
「ふぃーにす、海いったことないのじゃ! ふぃーにすたちの羽だと、まだ遠くて、辿り着けにゃくて」
「ふぃーねはねー! あにむちゃに、一番美味しそうにゃのを、あーんしてあげりゅ!」

 両手を伸ばしてくる抱っこしてのポーズ。声のトーンがとっても高くて甘い分、二人の心を揺さぶってしまったのだと、反省です。ごめんね。お姉さん代わりを、お母さん代わりをぶりながら、本当は私が二人に甘えてるね。
 師匠の話を聞いて、私の気持ちを全部伝えたら。二人も楽しい思い出なんだねと、心から笑ってくれるでしょうか。
 二人に微笑み返し、強く抱きしめます。ちょっと早い鼓動が、胸を熱くしました。それを誤魔化すように、ちゃちゃっと髪を纏め上げ、マフラーを巻きました。いやいや、動きやすくするためです。
 いつものリボンは、リュックに仕舞っておこう。師匠が私のために守りの魔法を込めてくれた、大切なリボンです。

「よし、準備終了! フィーネとフィーニスは、寒いから、リュックの中、いる?」
「あい! もこもこ毛、触れると、あったかいのでしゅ」
「あにみゅ、写真忘れてるのぞ。……大切なものぞ?」

 ささっとリュックに入って顔だけを出したフィーネ。一歩遅れて羽をはばたかせたフィーニスは、写真を手渡してくれました。
 押し付け気味に手渡されます。静々とリュックに潜ったフィーニスですが、視線は私に向けられたままです。ぐっと握った写真は、幾分か色褪せてしまっているように感じられました。日陰に仕舞っていたとは言え、異界の魔力と化学反応を起こしてしまったのでしょうか。今となっては手に馴染まない、つるっとした感触に、ぐっと唇を噛んでしまいます。

「うん、大切な宝物だよ。ありがとうね」
「大切、でしゅの?」
「そう。あっちの世界の、大切な家族だからね。もう、撮れないだろうし」

 最後は思いのほか、小さな呟きになりました。
 二人には聞こえてなかったかも知れません。でも、繰り返すことも憚られたので、早々に写真をリュックに押し込み、おしこみです。
 とっても愛らしい様子で、顔を覗かせている二人の体に触れちゃうと、冷たいですもんね。お尻にも触れさせないために、ぐっと底の方へ押し込んでおきます。手帳らしきものの間に入ったみたい。これならぐちゃぐちゃにもならないでしょう。

「じゃあ、しばらくは、この部屋とも、お別れだね。また、すぐ、戻って来れますように」

 別に取壊しをするわけでもないのに、変な名残惜しさが生まれました。わずかな時間とは言え、この世界に来てから私を受け入れてくれていた部屋を離れるのは、胸を締め付けられます。
 廊下に出ても、厚着のおかげで凍えませんでした。ただ、露出している顔面はどうしても冷たさ直撃なので、自然と黙ったまま足が進みます。うぅ、鼻が冷たい。
 一階から大きな物音はしてこないので、もうお引越し準備は終わっちゃってるのかも。静寂を壊すのは気が引けて、つい忍び足で階段を下りてしまいます。
 最後の一段に足底をつけたところで、途切れ途切れの会話が耳に届きました。

「――たちは――アニムちゃん――いくじなし――」
「でも、アニムが――で、帰るって言ったら――まだ、あの出来事――時期じゃ――」
「仕方がねぇ、だろ。あいつの意思を無視――けど、オレだって――手放せ――」
 
 近づくにつれて鮮明になっていく会話は、同時に心音を煩くしていきます。相談というよりも、言い合いに近い語気です。普段、私がいる際に交わされる冗談交じりの口論とは、明らかに色が違います。
 激しくなる鼓動を無視して、談話室へ続く広間を覗くと。腰掛けた師匠を、皆さんが取り囲んでいました。センさんだけは離れた壁に寄りかかり、腕を組んでいらっしゃいます。背を丸め、祈るように組んだ手を額に当てて項垂れてしまった師匠を、じっと静かに見つめるセンさん。はじめて見る、ともすれば厳しくも感じる視線です。私の記憶にいるセンさんはいつだって師匠の味方でした。カローラさんに見せてもらった、召喚失敗の過去映像でだって、あんな厳しい目つきではありませんでした。
 師匠の横顔は、前髪に隠れてしまっていて、表情が伺えません。でも、苦しそう。師匠の肩は、目に見てわかるほど震えています。

「センさん、どうしたのかな。ししょー、震えてるは――私に、全部、話すから?」

 大丈夫。笑顔で師匠って呼べば、すぐ「おせぇよ」って意地悪に返してくれるはずだもん。もしくは、疲れた笑みで「早く近くに来い」って手招きしてくれるんだ。手を伸ばせば、痛いくらいの強さで握り締めてくれるって知ってる。
 私が凜としていれば、師匠だっていつもと変わらず、大好きなアイスブルーの瞳に、私だけを映してくれるって信じてる。
 よし。気合を入れましょう! リュックを抱きしめる腕は、すごくぎこちなく動きましたけど、ご愛嬌ですよね。指に力が入りすぎて痺れちゃってますよ。臆病ですよ、自分。おかしいですよ!
 ぐっと、詰まった喉を内心で笑いながら、無理にでも口の端をあげます。

「ししょー、皆さん、お待たせ、って! フィーネ?!」
「待つのじゃ、フィーネ! お上際が、悪いのぞ!」

 一歩踏み出した直後、玄関へ向かって飛び出していったのはフィーネでした。目にも留まらない速さで、一目散に子猫用の出入口に体を滑り込ませ、姿を消してしまいました。
 小さな手に握られた写真を認識した瞬間、あぁ私の配慮が足りなかったんだと、自分の頭を殴りたくなりました!
 自分でも驚くほどの反射神経で、ほぼ同時にフィーネを追っていました。
 私にぶつかる、熱いけど冷たい水。フィーネの涙に、気付けなかった自分が恨めしい!

「おい、どうしたアニム! つか、その格好と髪――」
「ししょー、フィーネが! あぁ、もう、とにかくフィーネ、捕まえないと!」

 背中にぶつかって来た師匠の声への返事もそこそこに。フィーネを追って玄関のドアを押し開けます。
 外側は、猛吹雪でした。途端、吹き付けてきた風と雪に、たたらを踏んでしまいます。吹き飛ばされそうになったフィーニスを、横飛びキャッチです!
 フィーニスよりちょっと軽いフィーネは?! どこ?
 段差を転げ落ちそうになりながら庭に出ると、ホーラさんの召喚獣がいました。召喚獣はこともなさげに、大人しく座っています。

「あにみゅ! ふぃーねのやちゅ、上空に舞いあがっているのぞ!」
「鳥さん、お願い! 私たち乗せて、フィーネ、追ってください! あとで、ししょーの魔力、いっぱいあげるから!」
「ふぃーにすも頼むのぞ! 今の天気で上空いくは、ふぃーね凍っちゃうのぞ! ふぃーにすたち、式神じゃからある程度は問題にゃいけど、この吹雪はにゃんか、さっきから変な魔法感じるのじゃ!」

 師匠の魔力、が功を奏したのでしょう。瞼を閉じていた鳥さんは、綺麗な金色の瞳をゆっくりと向けてくれました。
 鳥さんはホーラさんが呼び出した召喚獣ですから、本来は主の指示しか聞かないのでしょうけれど。きゅうと鳴きながら近づいてきたくちばしが、師匠がくれたネックレスを突きました。嘘じゃないよとネックレスを前に翳すと、ばさりと羽を広げてくれました!
 師匠の魔力って本当にすごいのですね!
 後ろから師匠たちが出てきたのと、鳥さんが大きく羽ばたいたのが重なってしまい。起きた風が、師匠たちを家に押し込んじゃいました。けれど、あっと声をあげる暇もなく、上空にいました。師匠ごめんなさい。早く追いついてきてね!

「ふぅ。寒い、どころじゃない。肌が、氷に、なりそう」

 吹き付けてくる風に飛ばされないよう、リュックは背に! 握り締めたまま持ってきてしまっただけで邪魔かもですが、ここから下に投げるわけにもいきません。フィーニスも、凍えちゃうかも。襟元に押し込んでおきます。
 式神なフィーニスも、相当体温が下がっていました。出来るだけ私の温度がフィーニスに移ってくださいと祈りながら。ひとりボッチで、吹雪の中にいるフィーネを想います。
 ごめんね、本当にごめんね。私、中途半端にわかっているつもりでいた。自分の決意しか見えてなかった。自分の大切だって気持ちばかり考えて、フィーネの中で私がどれだけの存在か考えているつもりで、見えていなかった。
 それが依存でも過信でも。まずは向き合わないといけなかったのに。サインはたくさん出ててはずなのに……!

「フィーネー!! ごめんねー! 私、この世界に残るから! ずっと、フィーネと、いるから! 戻ってきてー!」

 かじかむ唇に気合を入れ、ありったけの声量で叫びます。フィーニスがはっと顔をあげたのが、喉元の気配でわかりました。
 嘘じゃないです。元の世界に戻らず、こっちの世界を選ぶ決意をしていたのは本当です。ルシオラとおしゃべりをした、あの夜。決めていた気持ちです。
 タイミングや伝える言葉なんて迷ってないで、もっと早く、せめて二人には言っておけばよかった。師匠の告白を待ってないで、伝えていればよかった。

「あにみゅ、しょれは違うのじゃ。ありゅじもふぃーにすたちも、あにみゅに、全部ちゃんと知ってもらった上で、傍いてくれるか、決めて欲しい、願ってて――」
「フィーネ! どこにいるの!」
「あにむちゃ、ほんちょ?」

 吹雪に溶け込んでしまっていた白猫のフィーネ。風音に混ざって聞こえた声の主を、目をこらして必死に探します。鳥さんの頭を支えに立ち上がった先、桃色のリボンを辛うじて発見出来ました。届くかどうかじゃなくて、必死に手を伸ばします。
 掴みやすいようにでしょう。鳥さんが旋回してくれたおかげで、指先にフィーネが触れました! 吹き飛ばされないで下さいね! 掴んだフィーネは、吹雪に毛を凍らせてしまっています。弱々しく見上げてくるフィーネの毛の雪を払い、一生懸命息を吹きかけます!

「あにむちゃ、ごめんちゃい。お写真、とんで、いっちゃった、にょ。ごめんちゃい、ふぃーね、わざとじゃ、ないの、でちけど、探したでしゅけど、ごめんにゃ……しゃい」
「いいよ、写真、探せばいいし、見つからなくても、全然いいから! 早くししょーに、あっためて、もらおうね?」

 冷たい体を必死に摩りますが、なかなか体温はあがってくれません。
 襟元から出てきたフィーニスが、フィーネに額を合わせて魔力を送り込みます。ただ、フィーニスの体温も下がっているので、あまり効果はないようです。さっき言ってた変な魔法の気配が、妨害しているのでしょうか。
 とっとりあえず、人肌ですよね! ブラウスの喉ボタンを外して、胸の間に押し込むとあまりの冷たさに、身が縮みました。いやいや、そんな場合じゃない! 私の体温全部吸い取ってくれてもいいから。いつもみたいな甘くて柔らかくて、あったかいフィーネに戻って! 上から、マフラーをぎゅっと抱き込みます。

「鳥さん、家にもど――」
「それは、困りますねぇ。この世界に残ろうと決めた貴女を、放置しておくわけには、いきません」
「メトゥス!!」

 嘘?! だって、メトゥスは死にかけてるんじゃ!
 禍々しい雰囲気を感じたのか。鳥さんが咆哮(ほうこう)を放ちました。超音波が吹雪を散らした先。正確には、上空の結界魔法陣の上に座り込んでいたメトゥスが、ふてぶてしく現れました。
 真上ではないものの、限りなく近い距離にいます。いつの間にか、結界ぎりぎりにまできてしまっていたみたいです。綺麗な色を流しているはずの結界魔法陣も、メトゥスが触れている部分だけは、黒く濁っています。
 目にしたメトゥスは、死に掛けと言って間違いくらいぼろぼろです。全身から血を流し、乱れた髪や肌には赤黒いものがこびり付いていますし。呼吸も荒い。
 でも、怖いくらい、瞳はぎらついています。蒼白い景色の中、深い紫色の瞳だけが存在するのを許されている――。

「アニム!」
「ししょー! ここだよ! メトゥスが!」

 下から近づいてきた、だれのものよりも安堵をくれる声。止まりかけた呼吸を取り戻してくれたのは、大好きな師匠の声でした。耳に響く、優しくて力強くて凜とした声色。
 鳥さんの羽から下を覗いた直後、背後に光が溢れました。腕で吹雪をよけながら振り返った先には。隠れていた左目を露にして、いやらしく笑っているメトゥスがいました。
 ぐっと、吐き気がこみ上げてきます。メトゥスの左目は、見るに耐えない様子で顔中の血管から血を吸い上げています。

「どの世界からも消えてしまいなさい!! ウィータを陥れる闇色を持つ、異物にして忌み女(め)よ!! その式たちと共に逝けるなら、本望でしょう!!」
「ざけんな、メトゥス!! 消えるのは、てめぇだ! アニムはオレの世界を照らす光!! アニムが持つのは、柔らかく包んでくれる、癒しの闇色だ!」
「うー! みゃあぁ!」

 メトゥスが放った、おどろおどろしい瘴気の魔法。師匠が発動したであろう魔法の煌き。フィーニスが作り出した小さいけれど眩い魔法陣。
 ちかちかと火花を散らしたのは一瞬で。全てが溶けあい、世界が真っ白になりました。くらんだ意識の中。なんとかフィーニスを掴んだ感覚だけが、明確です。
 次いで襲ってきたのは浮遊感でした。肺がつぶされそうで、首を絞められている。全身が引き裂かれそうな感覚には、覚えがあります。苦痛に身悶えても、理解出来てしまった術。
 あぁ、そうだ。薄っすらとだけど、覚えてる。

「アニム、アニム!! あ――」

 これは、召喚時の……異世界に引き込まれた際の、感覚だ。
 遠のいていく師匠の声が誘った涙が熱い。全身を切り裂く、師匠の叫び。いやだ、いやだ。ちゃんと師匠に伝えてない! 何度も大好きだって口にしているけれど、全然足りないの! 離れたくない! ずっとずっと師匠と、いたい! もっと師匠を知りたい、師匠の過去も未来も。私のことだって、もっと知って欲しい。見て欲しい。もっともっと触れて欲しい!
 お願い! この世界に神様がいるなら、どうかお願いです!
 がむしゃらに伸ばした指の先に現れたのは、花吹雪。真っ白な空間に生まれた淡い色は、どこまでも優しくて。あっという間に私やフィーネ、フィーニスを包み込みます。これは、どこかで見た光景――。
 思い出すより前に、混濁していく意識を手放してしまいました。




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